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FFの恋する小説スレPart8

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 08:51:26 ID:CdVnMnrh0
文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎!
皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン
=======================================================================
 ※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。
 ※sage推奨。
 ※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。
 ※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。
 ※職人が励みになる書き込みをお願いします。書き手が居なくなったら成り立ちません。
 ※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。
=======================================================================

前スレ
FFの恋する小説スレPart7
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1162293926/

記述の資料、関連スレ等は>>2-5にあるんじゃないかと思います。

2 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 08:53:00 ID:CdVnMnrh0
【過去スレ】
初代スレ FFカップルのエロ小説が読みたい
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1048776793/
*廃スレ利用のため、中身は非エロ
FFの恋する小説スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1055341944/
FFの恋する小説スレPart2
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1060778928/
FFの恋する小説スレPart3
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1073751654/
FFの恋する小説スレPart4
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1101760588/
FFの恋する小説スレPart5
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1134799733/
FFの恋する小説スレPart6
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1150527327/

【FF・DQ板内文章系スレ】
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の3
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1182600123/
FFをかなり真面目にノベライズするスレ その8
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1167973154/
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら10泊目
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1185925655/

3 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 08:53:47 ID:CdVnMnrh0
【お約束】
 ※18禁なシーンに突入したら、エロパロ板に書いてここからリンクを貼るようにしてください。
   その際、向こうに書いた部分は概略を書くなりして見なくても話はわかるようにお願いします。
【推奨】
 ※長篇を書かれる方は、「>>?-?から続きます。」の1文を冒頭に添えた方が読みやすいです。
 ※カップリング・どのシリーズかを冒頭に添えてくれると尚有り難いかも。

 初心者の館別館 http://m-ragon.cool.ne.jp/2ch/FFDQ/yakata/

◇書き手さん向け(以下2つは千一夜サイト内のコンテンツ)
 FFDQ板の官能小説の取扱い ttp://yotsuba.saiin.net/~1001ya/kijun.html#kannou
 記述の一般的な決まり ttp://yotsuba.saiin.net/~1001ya/guideline.htm
◇関連保管サイト
 FF・DQ千一夜 ttp://www3.to/ffdqss
◇関連スレ
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の3
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1182600123/
◇21禁板
 【FF】エロパロFF総合スレ 3
 sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1160480047/
 FFDQカッコイイ男キャラコンテスト〜小説専用板〜
 www3.to/ffdqss
【補足】
 トリップ(#任意の文字列)を付けた創作者が望まない限り、批評はお控えください。
 どうしても議論や研鑽したい方は http://book.2ch.net/bun/

 挿し絵をうpしたい方はこちらへどうぞ ttp://ponta.s19.xrea.com/

4 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 08:54:40 ID:CdVnMnrh0
【参考】
 FFDQ板での設定(game11鯖)
 http://game11.2ch.net/ff/SETTING.TXT
  1回の書き込み容量上限:2048バイト(=2kb)
  1回の書き込み行数上限:32行
  1行の最大文字数     :255文字
  名前欄の文字数上限   :24文字
  書き込み間隔       :45秒以上
  (書き込み後、次の投稿が可能になるまでの時間)
  連続投稿規制       :3回まで
  (板全体で見た時の同一IPからの書き込みを規制するもの)
   1スレの容量制限    :512kbまで
  (500kbが近付いたら、次スレを準備した方が安全です)

5 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 08:58:20 ID:CdVnMnrh0
テンプレ以上です。

作品楽しみに待ってます。

6 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 16:44:43 ID:DZmYsw240
>>1
乙!

7 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 23:30:43 ID:NKQ4U/sZ0
>>1
乙乙!


8 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 12:53:56 ID:7sIt2Bk80
>>1
乙!

9 :オペラ座の空賊【37】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:03:26 ID:phsUC1k00
※FF12本編終了後ヴァンとパンネロが空賊デビューした後のお話。
※投稿人の書くパンネロはヴァンの事が放っておけないし大好きだけど、
バルフレアの事もちょっとだけ好きなのです。少女漫画風味でスマソ

前スレ>>612-618よりつづきます。

幕間の通路は次の舞台に向けての準備のスタッフで溢れていた。
ヴァンはその間を縫う様にして走る。
「おい、何をしている。」
不意に呼び止められて肩を掴まれた。
「なんだ、ヴァンじゃないか。」
呼び止めたのはダラマスカ兵だ。劇場の警備に回っていたのだろう。
兵隊がなんで自分の顔を…と思っていると、顔馴染みの男だ。
レックスが亡くなってから、帝国兵にスリを働くヴァンを
街中が心配してよく声を掛けてくれていていた。その中の一人だ。
急いでいたが、知り合いなので無下には出来ない。
「随分物騒な物を背負ってるが、なんだ、芝居に出るのか?」
兵士はヴァンを疑いもせず、仰々しい武器も舞台の小道具だと思った様だ。
「そ、そうなんだ!」
ヴァンは咄嗟に嘘を吐いた。
「エキストラだけど…ここのダンチョーがミゲロさんに人が足りないって頼んで…っ!」
「へぇ…。」
「じゃ…俺、急ぐから!」
兵士は掴んでいた肩を離すと、
「おぉ!頑張れよ!見られなくて残念だよ。」
相手の顔が見られず、小さくごめんと呟いてヴァンは再び走り出した。
いつも自分を気遣ってくれる相手に嘘を吐くのは辛いが、
今はパンネロが危ないのだと言い聞かせ、ヴァンは走った。


10 :オペラ座の空賊【37】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:04:46 ID:phsUC1k00

音楽が鳴り、拍手が聞こえてきた。
(しまった…!)
ヴァンは賊が居ないかと探しながらロビー、楽屋、舞台裏を駆け回る。
ホールからは途切れ途切れに音楽が聴こえて来る。
今の所舞台は何事もなく進んでいるようだ。
(残りは…)
あと、探していない所はどこだとヴァンはキョロキョロと辺りを見回す。
(落ち着け…)
ダンチョーに見せられた館内の見取り図を必死で思い出す。
「…上だ!」
ヴァンは誰も居なくなった階段を上がり、
ボックス席の後ろのロビーのをすり抜けようとした。
「……ヴァン?」
呼び止められて、今度は誰だと振り返ると、
「アーシェ?」
そこには白いドレスを纏ったアーシェが立っていた。
幕間の間にロビーに出てバッシュの戻って来るのを待っていたが、
一向にその気配がなく、気になって席に戻れずに居たのだ。
ヴァンは足を止めてアーシェに歩み寄る。
「なんでこんな所に居るんだよ!」
自分とラーサーの為の上演会なのに随分な言い草である。
アーシェは久しぶりに頭に血が上るのを感じた。
「久しぶりに会ったというのに、なんて言い方なの!?」
だが、今はそんな事を言っている場合ではない。
パンネロが舞台で歌い、ヴァンが武器を持って
走り回っているという事はやはり何かあるのだ。

11 :オペラ座の空賊【39】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:07:15 ID:phsUC1k00

「いえ…そんな事よりどうして…」
言いかけたアーシェの言葉をヴァンは乱暴に遮る。
「芝居、始まってんだろ!ちゃんと観てやれよ!」
「え…?」
「パンネロ、一生懸命練習したんだぞ!おまえとラーサーの為に!だからちゃんと観てやれよ!」
ヴァンらしからぬ剣幕にアーシェは一瞬怯んだが、
「問題はそこじゃないでしょう?」
「ラーサーは!?」
アーシェは違和感を覚えて黙り込む。
(おかしいわ…)
普段のヴァンは言葉こそ乱暴だが、こんなに攻撃的ではないはずだ。
「…中で舞台を観てるわ。」
ヴァンは“よし”と頷くと、立ち竦むアーシェを残し、
舞台の上方に向かって再び駆け出し…と、足を止めてくるりと振り返ると、
「アーシェ!早く!中でちゃんと観てやれよ!」
そう怒鳴ると、瞬く間に駈けて行ってしまった。
呆然と後ろ姿を見送っていると、ヴァンがやって来た方から
ガチャガチャと剣の音させてバッシュが駆けて来る。
「陛下…」
「バッシュ…今、ヴァンが…」
「存じております。彼を追って来ました。」
「ヴァンならあの階段を上って行ったわ…早く追って!」
「御意。」
「様子が変だったわ…あんな言い方する子じゃないのに…おかしな事に巻き込まれてないといいけど…」
アーシェは心配そうにヴァンが走って行った方に目をやる。
「ご心配ですか。」
「当然です。」
きっぱりと言い切ったアーシェにバッシュは恭しく一礼すると、
ヴァンの後を追い、また走り出した。


12 :オペラ座の空賊【40】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:08:52 ID:phsUC1k00

舞台の天井には、バトンと呼ばれる棒が何本も渡されており、
大道具や照明器具が吊られている。
時には大道具係が紙吹雪を降らせたりする為
人一人がなんとか通れる幅と強度しかない。
天井まで駆け上って来たヴァンがそこで見つけたのは、倒れている照明係と大道具係。
「おい、お前ら!!」
そこに居たのは、やはり例の一味だった。
「また懲りずにやって来て…どういうつもりだ!」
照明の為の大きなライトを運んでいた一味が振り返る。
「あぁ?おまえ…バルフレアの腰巾着じゃねぇか。」
一味の首領、バッガモナンが答える。
腰巾着じゃねぇよ!と、怒鳴りそうになってヴァンは慌てて口を噤む。
舞台の真上だ。客席に聴こえでもしたら大変だ。
「バルフレアの野郎は何処に居る?あの野郎…
 おまえが来たって事は尻尾巻いて逃げ出しやがったのか?」
「予告状を出したのは、やっぱりお前らなんだな?」
「あぁ、そうさぁ!あの野郎がなかなか出て来ないんで、あぶり出してやる所だ。」
ヴァンが剣を構え、じり、と一歩踏み出すと、
「おぉっと、動くなよ。一歩でも動けば、こいつを舞台に落とす。」
バッガモナンは傍らにある大きなライトに手をやる。
あんな物を舞台に落とされたら大騒ぎだ。
いや、それよりも、もし誰かの上に落ちでもしたら…
(ちっくしょぉ〜…)
何かいい手だてはないものか…
ある考えが閃き、ヴァンは構えていた剣を下ろし、
わざとらしくため息を吐いてみせる。
「そんなんだから、お前らは三流だって言われるんだよ。」
「なんだとぉ!?」
ヴァンの挑発にバッガモナンはあっさりと引っかかる。


13 :オペラ座の空賊【41】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:11:47 ID:phsUC1k00

「あんな偽物、バルフレアじゃないってすぐに分かったさ。もう少し頭使えよ、あ・た・ま!」
ヴァンに背を向けて肩越しに話していたバッガモナンが
ゆっくり振り返り、ヴァンに歩み寄る。
バッガソウを掲げると背後の部下達に、
「お前ら、そこに居ろよ。」
言うが早いか、上段から一気に得物をヴァン目がけて振り下ろした。
その一撃を受け止めると、足場がゆらゆらと揺れ、
ヴァンは思わず尻餅をついた。
バッガモナンは容赦なくヴァンめがけてバッガソウを振り下ろした。



その頃舞台では。
“今回のマリア”は一本の線でなんとか演じ切っている事に観客は気付き始めていた。
さっきから天井で物音がし、そうすると、
ふと集中力が途切れる瞬間があるのだ。
折しも舞台は敵国の王子、ラルスに求婚されるシーンだ。
パンネロの危うさがドラクゥの不在に揺れるマリアの心と
うまくマッチして観客の庇護心を一層かき立てる。
舞台はいよいよマリアの見せ場のシーンだ。
城の塔に上り、星空を見上げて歌う。
観客はこのシーンを観るために来ていると言っても過言ではない。
パンネロは、自分が歌い終わる度にどよめきが起こり、
拍手がされるのが不思議でならなかった。
まさかそれが、“がんばれ”とか“よくやった”という
励まし故の物だとは思いもせず、偽者な上に、未熟な自分の歌に
なぜ観客が惜しげもなく拍手をするのか理解出来ない。
最もそれはBOX席に居るラーサーの影響が大きいのだが。
ラーサーは食い入らんばかりに舞台を観ていて、
パンネロが歌い終わる毎に拍手をすると、観客も今日の主賓に習う。


14 :オペラ座の空賊【42】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:14:39 ID:phsUC1k00

目の前にある台詞と歌で精一杯のパンネロだったが、
漸く舞台も終盤に差し掛かった所で、天井の方から物音がし始めたのだ。
微かに怒声と、ヴァンの声が聞こえてきた。
(ヴァンなの…?)
一方、ラーサーと一緒に居るアーシェは
ラーサーの熱中ぶりに驚くやら呆れるやらだ。
だが、この健気な代役が無事に演じ切る事を願う気持ちは同じだ。
さっきから舞台裏が騒々しいようだ。
走って行ったヴァンと後を追ったバッシュも気になる。
油断してはいけない…と、アーシェは注意深く舞台を見下ろした。



ヴァンは右手に大剣を持ったまま、左手を肩越しに床に付き、
狭いバトンの上で器用にくるりと後方に一回転する。
ムキになって斬りつけて来るバッガモナンを
紙一重で避けながらじりじりと舞台の裾へとおびき出す。
「このガキャあ!」
バッガモナンが大きく足を踏み込む度にバトンが大きくと揺れる。
それに合わせて照明やセットも揺れるのでヴァンは気が気ではない。
(パンネロは…)
「小僧!どこを見てやがる!」
ふと意識が舞台に飛んだ隙に目の前までバッガモナンが迫って来ていた。
ヴァンは慌てて後ろ向きに後ずさりをすると、足場の感覚が硬い物に変わった。
(しめた!)
やっと不安定な足場を抜けると、ぐっと足を踏み込んで
今までのお返しとばかりに大剣を大きく払う。
バッガモナンは辛うじてそれを受け止めるが、腕がビリビリと痺れる。
(くそっ!ガキのくせになんて力だ!)


15 :オペラ座の空賊【43】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:16:10 ID:phsUC1k00

ヴァンはにやりと不敵な笑みを浮かべ、さらに剣を振るう。
バッガモナンは防戦一方だ。
ヴァンの剣に弾き飛ばされて、ヨロヨロと後退する。
バルフレアは現れない、見下していたヴァンにあしらわれ、
怒りと屈辱で凄まじい顔だ。
「小僧!ブッ殺してやる!」
バッガモナンは得物を構え直すと、ヴァン目がけて突っ込んで来る。
「お前なんかに、邪魔されてたまるかよぉっ!」
ヴァンは叫ぶと、バッガモナンの頭上に高々とジャンプし、
渾身の力をこめ、大剣を振り下ろした。
ヴァンの剣を頭上で受け止めたバッガモナンだったが、
バッガソウをへし折られ、そのまま床にどう、と倒れた。
城の塔への階段を上りながら、漸く天井を見る事が出来た
パンネロが目にしたのは、バッガモナンの手下達に囲まれたヴァンだった。
(ヴァン!)
舞台も何もかも放り出して傍に行きたい、一緒に戦いたい…
(こんなに近くに居るのに何も出来ないなんて…)
だが、ショーは続けなければならないのだ。
パンネロは歌い出した。
“いとしいあなたは遠い所へ…”
泣き出しそうな、震える声だった。
だが、歌い続ける事がヴァンとの約束なのだ。
パンネロは大きく息を吸い込み、歌い続ける。
「パンネロさん…泣いています…」
客席のラーサーが誰に言うとなしに呟いた。
その言葉にアーシェパンネロを見ると、
確かにぽろぽろと涙を零しながら歌っているのだ。
思わず抱きしめてやりたくなるような儚さだった。
気付いた観客がまたざわめき始めたが、パンネロにはどうでもいい事だった。
ただ、ヴァンの為だけに歌う。
今のパンネロを動かしているのはその気持ちだけだった。

16 :オペラ座の空賊【44】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:18:16 ID:phsUC1k00

頭目を倒された子分どもがわらわらとヴァンを取り囲む。
(こいつらさえ倒せば…!)
ヴァンは剣を握る手に力を込めた。
力任せにつかみかかって来たブワジを避け、
勢い余ってつんのめったプワジの頸部を剣の柄で軽く小突く、
と、プワジは糸が切れたかの様に倒れてしまう。
ヴァンを後ろから羽交い締めにしようとしたリノは
同じく剣の柄で腹を突かれ、ずるずるとその場に崩れ落ちた。
残すは一人、と振り返った所で「ぎゃっ!」と悲鳴がした。
見ると、既に剣を鞘に収めたバッシュがそこに立っていた。
足下にはギジュが転がっている。
「バッシュ……」
「“遠距離攻撃”と魔法で攻撃してくる敵を先に倒せ、と教えたはずだが?」
ヴァンは気まずそうにそっぽを向いてしまう。
「危ない所だったな、ヴァン。」
「別に…バッシュが来なくても…俺一人で…」
「あぁ、見事だった。」
ふて腐れた態度は、少年らしい負けん気から来ているのだと
バッシュは微笑ましく思ったが、
「子供扱いすんなよ。」
きつい瞳で見据えて来るヴァンにバッシュも違和感を覚える。
(陛下が様子が変だと仰ってられたが、この事か…)
「そうだ…!パンネロ!」
ヴァンは天井から舞台を覗き込む。
丁度、パンネロが塔への階段を上って来ている所だった。
心配して天井を見上げていたパンネロと目が合ったので、
小さく手を振り、右手の親指を立ててみせる。
パンネロに笑顔が戻る。
そこに幻のドラクゥが現れる。
パンネロはドラクゥとダンスを踊る。

17 :オペラ座の空賊【45】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:20:22 ID:phsUC1k00

さすがに踊りが本分なだけあり、パンネロの踊りは見事だった。
軽やかなステップはいつ足が舞台に着いたのかすら分からない。
ボリュームのあるドレスのスカートを大きく翻し、細い腕を緩やかにまげ、
くるくると回る姿は舞台に花が咲いたかのようだ。
ドラクゥに見せる表情も、泣き顔とは打って変わって晴れやかな物になり、
会いに来てくれた事がうれしくて仕方が無いと、うっとりと見つめて来るのだ。
その愛くるしさに観客はまた、釘付けになる。
幻のドラクゥが消えた後に残された花束を手に取ると、
パンネロは再び歌い出す。
“ありがとう、わたしのあいするひとよ…”
声の伸びやかさも取り戻したようだ。
ヴァンが手を振ってくれた…それだけで、
今までくすぶっていたわだかまりが溶けていった様で、
パンネロは舞台に立って初めて晴れやかな気持ちで歌う事が出来た。
「ヴァン…。」
ずっと舞台を覗き込んでいるヴァンにバッシュが声を掛ける。
「君の目的はなんだったんだ?パンネロを守って、無事に舞台を終わらせる事なのか?」
ヴァンは答えない。
よほど舞台に熱中しているのか、それとも、
(聞こえないふりをしているのか…?)
バッシュは根気よくヴァンの背中に問いかける。
「ヴァン…バルフレアまで来ていたが…一体何が起こっているんだ?」
バルフレア、と聞いてヴァンが振り返った。
「…バルフレアが来ているのか?」
眼下では歌が終わり、パンネロが投げた花束が舞台に落ちて行く。
その時、ずん、と地響きがした。
舞台に落ちが花束が振動で不気味に跳ねる。
ヴァンとバッシュは思わず顔を見合わせる。
地響きは間を置いてもう一度起こり、やがて、地震の様に断続的に続いた。
客席からは悲鳴が上がり、観客は出口に殺到する。

18 :オペラ座の空賊【46】 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:21:52 ID:phsUC1k00

音楽も鳴り止み、舞台の俳優達は皆舞台から飛び降りて逃げ出してしまう。
「いかん!」
バッガモナン達が落とそうとしていたライトが振動で、
今、まさに舞台に落ちようとしている。
パンネロはと言うと、何事が起こったのかとキョロキョロと周りを見回している。
「パンネロ!逃げろ!早く!」
地響きは一層強くなり、ライトがぐらり、と傾き、パンネロの頭上へと真っ逆さまに落ちる。
咄嗟の事で、パンネロは動けないようだ。
「パンネロ!」
ヴァンが飛び出そうとするより早く、何かの衝撃を受けて、ライトが粉々に砕けた。
ヴァンは砕けた破片の中に飛び降り、パンネロに覆い被さる。
(今の…誰だ…?)
ライトを砕いた衝撃波は魔法ではなかった。
(ハンディボムだ…)
バッシュではなかった。だとすれば誰が…?
「…アーシェ?」
ボックス席の手すりに雄々しくも片足を掛け、
右手にブルカノ式を持ったアーシェがこちらを睨んでいる。
(おっかねぇの…)
ヴァンは肩をすくめ、身体の下のパンネロに声を掛ける。
「パンネロ、大丈夫か?」
「…うん、平気…」
健気に答えるが、身体が震えている。
パンネロをこんな目に遭わせてしまった自分を腹立たしく思いつつも、
それが素直に言い出せない。
「…アーシェにバレた。逃げるぞ。」
その時、舞台の床を突き破り何かが飛び出して来た。

つづく。


19 :9-18 ◆WzxIUYlVKU :2007/10/07(日) 14:26:26 ID:phsUC1k00
>>1乙です。

>>1乙です。

投下ミスです。×10→【37】○10→【38】ごめんなさい。
今回、舞台←→天井裏の場面切り替えが分かりにくいですね。精進します。

ヴァンの「早く!」は「アヤク!」各自で変換頂けるとうれしです。

20 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 17:55:50 ID:p557j3ap0
GJ!

21 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 20:57:47 ID:RlPnGTNo0
乙乙乙!

22 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 23:36:17 ID:/ngqe2270
乙GJ!おまいら大好きだ(つд`)

23 :ラストダンジョン (150)   ◆Lv.1/MrrYw :2007/10/09(火) 23:52:42 ID:3WxlAFBK0
 表向きここは「新本部施設」とされていますが、実際のところ目的は本部機能の移転ではなかったのです。
W.R.O新本部施設としておきながらも、実際ここにはW.R.O隊員が一人も常駐していない理由はこのためです。
だからこそ、こうして私達のような“人形”が各所に配置されています。このフロアにある隔壁も、建物内の
入り組んだ構造も、すべて侵入者に対する備えの一環でした。
 これだけ厳重なセキュリティを施しているのは、なにも3年前の一件が尾を引いていると言うだけではあり
ません。この施設は、あるものを保管する事を目的として建てられました。
 では、それが何であるのか? ……ここまで話せば、もうお分かりかも知れませんね。



 ここはインスパイア能力そのものを安置しているのです。我々は、それを守るために配備された人形なのです。



 ユフィさん、あなたの意向に沿ってここを出る事ができないとお伝えしたのは、このためなんです。
 そしてあなたがここへ戻ってきた時、私はその事を打ち明けなければならないと考えていました。あなたに
「戻ってきて欲しくなかった」のは、W.R.Oの活動に協力して下さったユフィさんに対する後ろめたさなのかも
知れませんね。
 ……申し訳ありません。


----------
・500kb超えると規制だったのか…wとりあえずここで一区切り。
・ともあれ>>1乙!

24 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/09(火) 23:56:36 ID:3WxlAFBK0
>>9-18
前話からそうなんですが、いちいち大人の振る舞いを見せるバッシュが良い味出してて困りますw大好きだ!
ちゃんと相手の心情汲んで言葉を選んでるバッシュと、それを振り払うヴァンの対比から彼の必死さも伝わって来て良かった。
ただ今回、ちょっと気になったのは展開を急いでる感じがした事です。ヴァンの心中からいけば、
文章まるごと使っての上手い演出とも思えるんですが、一方でもうちょっとパンネロ公演の余韻に浸っていたかった
というそんな思いも否めず。しかしながら最後のアーシェが男前過ぎて惚れました。
舞台下からは何が現れるのか、引き続き期待sageしてお待ちしております。

パンネロ公演の余韻という点で、僭越ながら個人的に思った事を。
>>15での歌詞の引用が、バトン上のヴァンと舞台上のパンネロ(ヴァンを“遠い所”と感じる心中)を結んでいて良かったです。
欲を言えばこの流れで、もう少し歌詞を引用して(歌詞の引用を契機に場面転換する感じで)
「どうすれば? ねえあなた 言葉を待つ」→ヴァンの戦闘→>>16の後半(戦闘終了)→
「ありがとう 私の 愛する人よ」→パンネロの舞台→
「一度でも この想い 揺れた私に」→バッシュの問い掛け(パンネロを守って―)→
「静かに 優しく 応えてくれて」(結局ヴァンは答えないw視線を追うようにして舞台へ)→
「いつまでも いつまでも あなたを待つ」→直後に客席からの悲鳴
みたいな展開だったら、もっとこう、オペラ公演中ならではの緊迫感?があったかも。なんて思ったりもした。
今後の展開次第ではこの流れは逆効果になる場合もあるので一概には言えないけども。
「もっとパンネロ公演見たいよ!!」と、心の中のラーサーが申しておりました(あくまでもラーサーのせいw)

24 KB
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