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鬼姫と100秒を同じ部屋に5回閉じ込めてみた

356 :door(10):2007/01/23(火) 01:25:17 ID:pX0iGi+SO
扉の向こうは、薄暗い部屋だった。

ばたん。

扉が閉まると、ぼんやりとした人間の輪郭が浮かび上がる。
そして部屋の隅の方で、私よりもやや小柄な少年がぐったりとしているのが視界に入った。
「パースト…さ、ん…」
少年の口が動いた。掠れてはいるが、扉の向こうから聞こえていた声と同じ。
紛れもなく、フィンの声だ。

「フィン…!」
私は少年の傍らにしゃがんで、その顔を覗き込んだ。
少年はしっかりした顔立ちをしている。頬や額にはいくつもの擦り傷があった。
「フィン、大丈夫?しっかりして!」
私は仰向けに倒れる少年の肩に触れ、声を掛けた。
そのとき、つい先刻の会話が耳の奥で甦る。

【僕たちの仕事は、部屋に閉じ込められたあなたを守ること】
【だから、僕たちがしっかりしないとダメなんです】

【僕、ゼアさんみたいに強くなりたい】

この少年は私を守るために人間と戦い、そして傷だらけになって今ここに倒れている。時折ぐぅと呻いて顔を歪ませた。
すると少年が目を開ける。夕焼けのような深いオレンジ色と視線が交わった。
そして再び耳に届いた少年の声。

「…ごめんなさい…」

少年の傍らから立ち上がるとき、肩の付け根から何かが押し出されるような違和感を覚えた。
最愛の友にして最大の敵、人間。
その姿をキッと睨み付ける。

【君の本当の力を、人間に見せるんだ】

青年の言葉が木霊した。
そして。

「わああああああああああァっ!!!」

生まれて初めて叫んだ。
身体が宙に浮き、風のように人間の懐に飛び込む。


そこから先はほとんど覚えていない。
風を切る音。何かにぶつかる音。衝撃。

虚ろなオレンジ色が、脳裏に焼き付いて離れなかった。

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